近年ファッショントレンドにおけるミリタリー人気が時計業界にも波及。
オーデマピゲ コピータイメックスなどのいわゆるカジュアルミリタリーのみならず、ブランパンやチューダーといった本格メーカーもいまや積極的にミリタリー顔のモデルを投入している。 こうしたミリタリーウオッチは、質実剛健な意匠はもちろんのこと、その強固なバックボーンも大きな魅力に挙げられる。 そんなミリタリーウオッチの魅力をさらに深く理解するため、その歴史を改めて解説する本連載。 3回目となる今回は、技術の進化を背景に、さらに高機能化していった1950〜60年代のミリタリーウオッチにスポットを当てる。 1950年代以降、科学技術の進歩で高機能な兵器開発が進んだのと同じように、ミリタリーウオッチもさらなる基本性能の底上げと高機能化が果たされた。 この時代で特に注目すべきは、ブランパンのフィフティファゾムズ(53年)やロレックスのサブマリーナ(54年)、オメガのシーマスター300(57年)などといった本格的なダイバーズウオッチが実用化されたことだろう。フランス海軍特殊潜水部隊からの要請を受け、1953年にブランパンが開発した初の本格ダイバーズウオッチ"フィフティファゾムス”。ファゾムスとは水深の単位で、当時としては画期的な“50ファゾムス”=“約91m”の防水性能を備えていた そしてその優れた防水性に各国の軍も注目し、軍用ダイバーズが徐々に登場しはじめたのだ。そのなかには、内部に浸水していないか瞬時に判断できるよう湿度インジケーターを備えたユニークなモデルもあった。ブランパンが開発したフィフティファゾムズをベースに、アメリカのミルスペック規格に準拠して製造された軍用ダイバーズ。今日、ダイバーズウオッチの基本仕様ともなっている回転ベゼルのほか、文字盤に湿度インジケーターを備える。アメリカ軍 また、同じくクロノグラフにおいても、瞬時のリスタート計測が可能なフライバック機能を備えるタイプ20(フランス空軍)が開発されるなど、高機能なモデルが開発されている。
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