[[TopPage]] > 最終課題に向けて > 演習4-2 オセロの基礎2

* オセロの基礎2 [#rc5dd636]

** コマを置ける条件 [#z3f06a7b]

- オセロのコマを置ける条件についてまとめてみます.

+ 自分のターンである
+ 置く場所にコマがない
+ &color(red){置くと,必ず相手のコマが1コ以上裏返る};

- 条件1は[[演習4-1>演習4-1 オセロの基礎1]]で,できました.やったー.
- 条件2も,押したボタンがboardIconかどうかを判断するだけなので,すぐできますね.追加しましょう.
-- いまのプログラムは,自分の番のときに,相手のコマを自分の色に出来てしまいます(試してみて下さい.).
-- ここで書き換えてみましょう.
-- 書き換える場所は,もちろん,mouseClickedのところです.
-- いまは,自分の番のときだけプログラムが実行されるようになっているとおもいますが,もう一つ条件を追加しましょう.
-- Icon theIcon = theButton.getIcon();の結果をみて,theIconがboardIconの時には,実行するという形に変更してください.
-- 書き換えたら,動作確認してください.
--- 自分の番のときに,相手のコマを自分の色に出来なくなりましたか?
- 条件3のプログラムは,色々なアルゴリズムが考えられると思います.
-- 難しいと思う人は,ここでその一例をご紹介します.
-- できそうな部分で参考をやめて,自分で書いていくのが良いですよ.
--- かなり詳細な説明になっていますので,プログラムに自信がある人は自分で考えてみるといいと思います.

** 課題4・隣8方向の判定 [#n4f1df21]

- 押されたボタンがboardIconだと分かった後に,そのボタンのtheArrayIndexをint型に変換します.

-- theArrayIndexは文字(String)なので,数字への変換が必要です.変換方法はなんどもやっていますね.
-- theArrayIndexを数字にしたものをtemp(という変数,int型)に代入しておきます.

- 次に,temp(theArrayIndexを数字にしたもの)をy成分とx成分にしてください.

-- %8や/8を使う方法でy成分とx成分になりますね(演習4-1参照).
-- xとyという変数も新しく作ります.

- xとyを用いて,以下のように書いてください. 

 if(judgeButton(y, x)){
   //置ける
   <<PLACE命令の送信>>
 } else {
   //置けない
   System.out.println("そこには配置できません");
 }

- <<PLACE命令の送信>>はすでに書いている部分が入ります.
- judgeButtonは,これから新しく作る関数の名前です.

|&size(14){関数 ''judgeButton''};|
|裏返りの発生するボタンであるかどうかを判定する|
|%%%引数1%%% y ボタンのy位置(0-7)&br;%%%引数2%%% x ボタンのx位置(0-7)|
|%%%返り値%%% 判定(TF)|

-- この関数の返り値はBoolean型です.指定した位置について,コマを置けたらtrue,置けないならfalseを返す関数です.

- では,mouseMovedの下に,新しい関数を追加します.
 public boolean judgeButton(int y, int x){
   boolean flag = false;
   
   //色々な条件からflagをtrueにするか判断する
   
   return flag;
 }

- それでは,judgeButtonの中身を書いていきましょう.
- flagをtrueにする手順は複雑ですが,まずはこのような条件を決めてみましょう.
-- flagというのは「旗」ですね.コンピュータのプログラムでよく使うテクニックの一つです.
--- flagは,ある条件を満たしたかどうかを,あとで確認するための方法です.
--- 使い方としては最初,旗を下げておく(flag = false)にしておき,条件を満たしたら旗を立てます(flag = true)にします.
--- プログラムの別の部分で,flagがtrueかfalseかを見ることで,条件を満たしたかどうかを判別できます.
++ 隣8方向に相手のコマがあるか,ひとつずつ見ていく
++ ひとつでもあれば,flagをtrueにする
- ここで,隣8方向の参照のしかたを下図に示します.

#ref(direction2.png,nolink,center,75%)~
#ref(direction_2.png,nolink,center,75%)~
CENTER:図1. 隣8方向の求め方

- buttonArray[y][x]を用いると,クリックされたボタンの情報を取得できます.
-- このy,xをそれぞれ±1することで,周りのボタンの情報も取ることができますね.

- 効率の良いプログラムを作成するには,指定の位置を(0,0)とおき,iとjを用いた相対的な座標を考えます.
-- iとjの''二重for文''から,%%%自分(j=0,i=0)以外の%%%まわり8コマを順に見ていきます.
--- まず,iとjの二重for文を書いてみて下さい.
--- iとjの範囲は分かりますか?図1をみてください.iもjも,-1から+1まで変化します.
-- for文の中で,buttonArray[y+j][x+i]のアイコンがyourIconならばflagをtrueにします.
--- そのfor文の中で,buttonArray[y+j][x+i]のアイコンを調べます.
--- iconが何かはgetIconを使うと分かりますね.
--- ここでは,iconが,yourIconの場合には,コマをおける(flagをtrueにする)と書いてみましょう.

- この段階で,メッセージを出しながらデバッグ(テスト)を行ってください.
-- 相手のコマがまわりのどこかにある時に,自分のコマが置けるようになっていますか?
--- まだ,オセロのひっくり返るなどの判断はできていませんが,なにかのコマと隣接していないとおけないはずです.
-- まったくひっくり返らないや正しく判定しない場合には,メッセージを出しながらデバッグ(テスト)します.
--- 例えば,judgeButtonのfor文の中で,iconが正しくとれているのか,変数の参照がうまくいっているのか?などをみてください.
--- 下記はメッセージを出す例です.theIconなどの変数は自分のプログラムの変数名を使って下さい.~
 System.out.println("y+j="+(y+j)+", x+i="+(x+i));~
 System.out.println("theIcon="+theIcon+", yourIcon="+yourIcon);~
--- よくある間違いとしては,xとyが逆だったというものです.
--- その場合,それっぽい動きはするのですが,隣接していないときにもコマを置けてしまいます.
- なお,端っこのボタンにコマを置こうとすると,エラーが発生すると思います.
-- 8方向の範囲に場外を含むことで,配列が-1や8を参照してしまうためです.
-- この問題は,あとで対応するとします.


** 課題5・ひっくり返す判定 [#x140b7ee]

- いよいよ,挟まれた相手のコマをひっくり返す判定に移ります.

- 課題4の「アイコンがyourIconなら」という条件を,「flipButtons()の返り値が1以上なら」という条件に変えてください.
-- flipButtons()とは書いていますが,()の中にはちゃんと''引数(ひきすう)''を渡して下さい
-- flipButtonsは,「ある条件」でひっくり返るかどうかを調べる関数なので,「ある条件」を引数で渡す必要があります

- flipButtonsは今から作る新しい関数です.仮引数にy,x,j,iの4つを与えましょう.

|&size(14){関数 ''flipButtons''};|
|一方向にあるコマ群を裏返す命令を送る|
|%%%引数1%%% y ボタンのy位置(0-7)&br;%%%引数2%%% x ボタンのx位置(0-7)&br;%%%引数3%%% j y成分ベクトル(-1,0,1)&br;%%%引数4%%% i x成分ベクトル(-1,0,1)|
|%%%返り値%%% 裏返ったコマの数|

-- 返り値はint型です.この関数は,指定した位置と方向について,ひっくり返せるコマの個数を返します.
-- flipButtonsの中身では,flagのような返り値用の変数flipNum = 0;も用意しておきます.
-- では,judgeButtonの下に,新しい関数flipButtonsを追加してください.
-- 書き方は,ほぼjudgeButtonと同じですが,戻り値が数字(intを返す)なので,そ-- の部分は違いますね.
--- flipButtonsは関数です.その関数の中のみで利用している変数はその中でしか使えないです
--- 変数スコープ[演習1-6 関数の定義と変数のスコープ]を再度見て下さい.とっても大事な考え方です.

#br

- さて,相手のコマが何個ひっくり返るかを見るには,%%%同じ方向に何個連鎖(連続)して%%%ひっくり返るかを調べなければなりません.
-- flipButtonsには,基準となるボタンの絶対位置(y,x)と,ひっくり返る可能性のある方向成分(j,i)を渡します.
-- これらの情報があれば,''どこからどの方向に調べていくか''が分かりますね.

#ref(flipothello.png,nolink,center)~
CENTER:図2. 隣8方向の先の求め方

- 隣2マス以上に離れたボタンを調べるには,j,iの値を使います.%%%j,iを,方向の単位ベクトルとして用いましょう%%%.
-- (1, 0)→(2, 0)→(3, 0)…
-- (-1,-1)→(-2, -2)→(-3, -3)…
-- 上記を見ると,どの方向も,%%%j,iを足し続ける%%%ことで遠いボタンの位置を把握できそうです.

#br

- それでは,変数dy,dxを用意して,固定値j,iを足し続けるようなループ文を作りましょう.
-- y+dyの値が,調べたいボタンの絶対位置になるようにします.

- というわけで,少し変わったfor文の書き方をしてみます.どんな処理か考えてください.
 for(int dy=j, dx=i; ; dy+=j, dx+=i) {
   ...
 }

- わかりました?
-- for文は,「初期化式; 継続条件式; 再初期化式」の順に書きます.
-- 「2つの変数について初期化できる点」「これらの式は省略できる点」がポイントです.
-- ただし,このままでは永遠に継続してしまうので,どこかでbreak文を使う必要があります.
-- さらに,このfor文をにらんでみると「 dy+=j, dx+=i」がありますね.
--- もし,jとiが0だったら,どうなりますか?この対応も必要ですね.


- このfor文の中身は,以下のようになっていればOKです.

++ &color(red){y+dy,x+dxの位置が場外なら,この関数は0を返す(判定終了)};
++ この位置のアイコンを取得する
++ アイコンの種類を見る
+++ &color(red){boardIconなら,この関数は0を返す(判定終了)};
+++ &color(red){myIconなら,この関数はflipNumを返す(連鎖ストップ)};
+++ &color(red){yourIconなら,flipNumを1増やす(連鎖が続く)};

- ちょっと説明します.
-- 1方向に突き進んでいき,連続して相手のコマがある限りは,まだ裏返せる可能性がありますよね.(flipNumを増やし続ける)
-- その道中,自分のコマにぶつかったら,「return flipNum」でさっさとfor文どころか関数を抜けます.
-- ただし,その道中にboardIconがあったり,自分のコマが見つからないまま場外にはみ出たりした場合も,さっさと0を返しましょう.

#br

- ここまでうまくできると,オセロのルール通りに置けるところだけにコマが置けます.
- まだひっくり返す処理は書いていませんので,正しくおけるかどうかだけです.

- ''うまくいかない場合''
-- JudgeButtonと同様に,flipButtonsの中で,メッセージを出しながらデバッグ(テスト)を行ってください.
-- エラーが「java.lang.ArrayIndexOutOfBoundsException」が出る場合は,配列の参照が配列の範囲を超えています.
--- 例えば,buttonArray[y+dy][x+dx]を使っている場合,y+dyとかx+dxが,-1になったり,8になったりしているかもしれません.
-- 無限ループのエラーになる場合は,xとyの参照を間違えているかもしれません.

- flipButtonsはひっくり返す数を調べていましたが,ひっくり返す処理はまだしていません.
- 実際のひっくり返す命令は,%%%flipNumが1以上%%%の時に,以下のようなループ文を回して書いていきます.
- さらに,このfor文をにらんでみると「 dy+=j, dx+=i」がありますね.前にも書きましたが.
-- もし,jとiが0だったら,どうなりますか?この対応も必要ですね.

 for(int dy=j, dx=i, k=0; k<flipNum; k++, dy+=j, dx+=i){
   //ボタンの位置情報を作る
   int msgy = y + dy;
   int msgx = x + dx;
   int theArrayIndex = msgy*8 + msgx;
   
   //サーバに情報を送る
   String msg = "FLIP"+" "+theArrayIndex+" "+myColor;
   out.println(msg);
   out.flush();
 }

-- judgeButton,flipButtons内のどちらかに追記しましょう.        
--- judgeButtonの中に書く場合には,flipButtonsを呼び出して,trueになったときに書くと良いでしょう.
//--- flipButtonsのの中に書く場合には,連鎖ストップ時(return flipNum;)のとこbreak文で抜けてから,for文のあとで処理すると良いでしょう.

- あとは,FLIP命令の受信部分を,PLACEのように書くだけです.
-- 受信部分は,run()の部分ですね.
-- FLIPとPLACEは送り方は同じで,FLIPとPLACEの部分がことなるだけですので,追加はすぐですね.
--- もし,PLACE部分にmyTurn = 1 - myTurnがあった場合FLIPには不要ですので,削除しておきましょう.

- ここまでできると,ひっくり返る処理ができていますので,オセロっぽくなっていると思います.




** 課題6・ゲームの終了と勝敗判定 [#v4015e20]

- オセロの公式ルールでは,自分のターンで必ず相手のコマをひっくり返します.
-- どこに置いてもひっくり返せない場合に,ターンのパスができます.パスに回数制限はありません.
-- ゲームの終了条件は,全てにコマが埋まるか,%%%両者とも置けなくなった%%%場合です.

- %%%自動でパスを発生させるか,いつでもパスができるボタンを作るか%%%.どちらか選んでください.

-- 実際には,「自動でパス」はちょっぴり難しいので,まずは,「いつでもパスができるボタン」をしてみましょう.
--- 「いつでもパスができるボタン」が簡単にできたら,「自動でパス」に挑戦してみましょう!
--- 「これ以上コマを置けなくなった」(パスの自動判定)の自動判定は,PLACEするたびに各boardIconのボタンの状況を探りましょう.
--- 自動パスは,judgeButton,flipButtonsと同じようなものを作ることで,作ることが可能です.
--- 自動パスのためには,全滅の手順を知っているとデバッグできます.
--- [[全滅の手順:http://uguisu.skr.jp/othello/lose_min.html]]

 
- 勝敗判定について
-- 両者とも置けなくなった時点で,各色のコマ数を数えて勝敗を決めます.
-- これも実質は,自動パスができないと難しいので,ここでは次のルールでいきます.
-- 「boardIconの数が0になったとき」と「パスボタンが連続で押されたとき」で勝敗判定にするようにしましょう.
--- 「お互いにパスが連続したら勝敗の判定に移る」というルールはこの課題だけの特別ルールですね.
--- 連続なので,パスの数をカウントする変数を使います.
--- 一度でもおけたら,カウントしょを初期化(=0)します.
-- 「全てのコマが埋まったらすぐに勝敗判定に移る」機能は付けてくださいね.


** おわりに [#kb41a157]

- ここまでできたら,とりあえず提出できる''自動オセロ''とみなします!
-- 提出作品とする場合は,必ず%%%画像を自分で用意したものにしてください%%%.
-- ここから新機能を追加したり,ここで得た知識からほかのゲームの作成を目指せば,高得点につながります(たぶん).
-- そのほか,詳細の[[最終課題]]ページをよく読んで,余裕のある課題作りを心掛けましょう!
- 残された追加機能は下記でしょうか?
-- 初期化機能(もう一回,最初からオセロを始めるための機能)が必要ですね.

#br

&size(16){[[&ref(http://yoslab.net/netprog/next.gif,nolink); 最終課題へ>最終課題]]};

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